ドナルド・トランプ米大統領とバラク・オバマ前大統領は、力強い経済が誰の功績かを巡り、中間選挙の応援演説で対立した。だが記録はどちらの主張よりも複雑だ。経済成長率はトランプ大統領就任後の21カ月がオバマ政権の8年間を上回っているが、連邦債務の増加は現在の方がオバマ氏の2期目より急ピッチだ。就業者の伸びは全体ではオバマ氏2期目の方が速いが、製造業に限ればトランプ政権下の伸びがオバマ氏の1、2期目よりも速い。株価はトランプ氏の下で上昇してきたが、オバマ氏1期目にはそれを上回る上昇があった。金融危機の安値からの回復だ。完璧な比較はない。オバマ氏が大統領に就任したのは深刻な景気後退と金融危機のさなかだった。トランプ氏が就任した時には、安定しているものの歴史的にみて歩みの遅い景気拡大局面が長く続いていた。オバマ氏については8年分の記録があるが、トランプ氏に関しては21カ月分しかない。米経済には政府の手が届かない要素が幾つも絡んでいるため、時の大統領に全ての功績ないし責任があるとは言えない。