「エコ」のイメージが強い太陽光発電。しかし今、全国各地でメガソーラーの建設とそれに対する反対運動が起きている。景観地としても有名な長野県・霧ヶ峰の麓でも、東京ドーム約40個分、ソーラーパネル約31万枚の巨大計画が立ち上がり、住民の反対運動が過熱。はたしてなぜ、このような事態が頻発するのか。長野県をモデルケースに、太陽光は本当にエコなのか考えたい。(取材・文/フリーライター 有井太郎)
霧ヶ峰の近くで立ち上がった
ソーラーパネル31万枚の大計画
東京・新宿駅から、特急電車でおよそ2時間の場所にある長野県・茅野市。蓼科高原などの観光地を有するこの地で、先日あるシンポジウムが行われた。そこには、定員の300人を優に超える500人が集まったという。四国や九州など、遠方からも多数の人が訪れた。
それが、10月8日に茅野市民館で開催された「全国メガソーラー問題シンポジウム」。近年、全国で開発が進む大規模な太陽光発電施設、“メガソーラー”がテーマだった。
拡大画像表示
ここまで広範囲に、同じ“問題”が起きているのは正常とは言い難い。“問題”とは「メガソーラー開発に対する反対運動」だ。このシンポジウムでも、リアルタイムで反対運動を行っている地域として、千葉県鴨川池田地区、静岡県伊豆高原、愛知県知多郡東浦、三重県四日市足見川の人たちが事例報告と現状の共有を行った。
これらに先んじて報告されたのが、シンポジウム開催のきっかけとなった、長野県諏訪市四賀のソーラー事業に対する反対運動だ。国定公園もある長野県・霧ヶ峰の近くに立ち上がった計画で、事業面積196.5ha、東京ドーム約40個分の土地に、ソーラーパネルを31万枚並べるもの。山間地域のメガソーラーとしては、国内最大級の規模となる。
事業計画地は茅野市の隣にある諏訪市だが、反対運動はちょうどそのエリアの斜面下部に位置する茅野市米沢地区の住民が中心となっている。