消費者の関心が「所有」から「利用」へと移行しつつあるなか、急成長をとげているのがサブスクリプション企業だ。音楽・動画配信などで日本でも知られるようになったこのモデルが、なぜ伸びているのか。最新刊『サブスクリプション』(ティエン・ツォ著)の本文から一部抜粋してお送りする。

(イメージ写真)

 サブスクリプションという革新的なコンセプトがいかに強力か、そして、それがソフトウェアやデジタルメディアに限定されていないことをわかってもらうために、グレイズ(Graze)という英国のスナックボックスの会社を紹介したい。スナック菓子に特化したパンドラの箱のような会社だ。

 数週間ごとに、彼らは私に、4種類のお菓子を詰めた箱を1個送ってくる。私はオンラインで一言、フィードバックを書き送っている。「これは気に入った」「これは好きじゃない」「あんな菓子はもう送ってこないで」「これと似たようなのを、もう少し試してもいいかな」「ポップコーンは外さないで」等々。彼らは最近どこでも見かけるようになった提案エンジンアルゴリズムを持っている。かなり使えるクールな代物だ。

 しかし、もっと深く知ると、この会社はもっとクールだということがわかる。私は前回、アジャイル・ソフトウェア開発について述べたが、グレイズはアジャイル・ファクトリーを持っている。

 ロンドンで開催した「Subscribed」のカンファレンスで、同社のアンソニー・フレッチャーCEOは、ポケットから携帯電話を取り出し、「私はこの電話で工場を動かすことができます。供給業者も、ディストリビューターも、パッケージング業者も動かせます。私が出荷するすべてのボックスは1人の顧客を対象としています。その人1人だけです」と話した。それだけでも凄いが、話はそこで終わらない。ここからが私のいちばん好きな部分だ。

 グレイズは最近、米国でもサービスを開始した。米国といえば、スーパーの棚に並べられた伝統的な英国のスナックが飛ぶように売れる国ではないが、フレッチャーは次のように語る。