中国には不良債権が氾濫しているため、素晴らしい投資機会が眠っているにちがいない。これがオークツリー・キャピタルのハワード・マークス共同会長をはじめとする著名投資家の見方だ。PwCによると、ブラックストーンやゴールドマン・サックスなどの外国人投資家は過去18カ月間で計20の不良債権ポートフォリオを購入した。投資額は約15億ドルで、投資活動に「目覚しい」弾みがついている。マークス氏ら投資家の見方は正しいのかもしれないが、後追いする者は慎重を期したほうがいい。高まる投資熱の背景にある前提は、中国当局にとっては見識あるアプローチをとることが望ましいというものだ。中国銀行業界の帳簿上の不良債権は公式には約2兆元(約32兆7000億円)だが、実際にははるかに多いとみられている。巨額の資金を投じて一挙に銀行の資本を増強したり、日本式に問題を放置して傷口を広げたりするより、市場を通じて段階的に不良債権を処理する方を当局は好むだろう。