消費者目線という点では、お金を送る「手数料0円」にもこだわった。「昔から、ATMの利用料やクレカの年会費など、お金が消費者から“何となく”取られている感覚があった」。だが、金融の仕事を経験し、銀行のシステム維持には無駄なコストが多いと気が付いた。「消費者に小銭を取り戻してもらいたい」という思いが、「手数料0円」には込められている。

 その荻原の経歴は型破りだ。大学卒業後はフリーターになり、トラックの運転手などを経験。その後、最初の定職に選んだのは日本料理店の板前だった。

 数年後、一念発起してエンジニアとしてビジネスの世界に飛び込む。金融に関わり始めたのはそれ以降だ。コンサルティングや新規事業の立ち上げに携わり、メタップスは4社目となる。

「ここが限界だ」。荻原が転職を決断するときは、決まって同じことを感じていたという。

 例えば、以前の会社でスマホ向け銀行アプリを企画したときのこと。当時は「ガラケー」が主流の時代。周囲の意見を企画書に取り入れたら、角が取れたつまらない内容になった揚げ句、経営陣から「アプリなんて見ない」「パソコンで十分だ」と頭から反対された。

 当時は、現在のスマホの爆発的な普及を予見できる時代ではなかった。それでも荻原は目利きに自信を持っており、それこそがキャリアチェンジの原動力だった。

 メタップスに入社してからは、決済サービスの責任者となった。そこでも、クレカ決済に伴う加盟店の手数料負担を下げ切れず、限界を感じていた。

決められないなら首にしろ
不退転の決意で事業開始

 2016年9月。悩む荻原の元にプリンの話が降って湧いた。利用者の負担を減らすという目的に引かれて参画し、みずほ銀やWiLと一緒に土台を作っていった。

 ただ、荻原の意見がプロジェクト内に対立を生んだ。認可登録をどうするかという問題だ。