マレーシアでは男同士で手をつなぐことがある。そんな話を教えてくれたのは、日本で出会ったマレーシア人の友人だ。彼がめでたく結婚することとなり、披露宴に出席するために現地に赴いた筆者が見たものは。(取材・文/フリーライター 武藤弘樹)
男同士が手をつなぐのが
珍しくないマレーシア
日本では、若い女性同士が手をつないで街を歩いている光景をたまに見かける。海外では、同性同士で手をつなぐことは“カップルの証し”とみなされる国もあるが、日本の場合、異性愛者の女性2人が手をつなぐことはそれほど不自然ではない。
では、日本において男同士で手をつないで街を歩いているとしたらどうか。
「同性愛のカップルなのだ」と判断する人が多いのではないか。手つなぎは、男性間では友情の証しとはなりえない。異性愛者の男性の一般的な感覚は「男同士で手をつなぐなんて気持ち悪い」。男同士のキスが宴会の席を盛り上げることがあるのは、嫌悪感を乗り越えてタブーを破っていく様が見る人に衝撃を与えるからである。
一方、東南アジアはマレーシア。こちらの国では異性愛者の男性同士で手をつなぐことは珍しくないらしい。ふとしたきっかけでマレーシアに縁を持つことになった筆者が、そうしたマレーシア文化の興味深いところを紹介したい。
マレーシア人の友人ができたのだが、その成り行きが少し面白かった。
あれは確か私が三十路手前、勢いのあった時分のこと。私は渋谷で路上ライブをやっていた。当時から、すでに渋谷近辺での路上ライブはあまり良しとされていなかった。