ところが、大和は年が明けると猛烈な勢いで預かり資産残高を増やし、冒頭の通り、6.6兆円という異常値を積み上げた。もっとも、その中身は個人顧客ではなく事業法人からの保有株式であり、手数料を生むどころか逆にコストが掛かる。SMBC日興に抜かれぬための苦肉の策といえよう。

 SMBC日興は三井住友フィナンシャルグループ内の銀証連携で大和を猛追しており、今後も両社のデッドヒートは続きそうだ。

リーマン後の危機で
グローバル化をやめ国内事業に注力

 その大和の特徴は、経営資源の国内事業への回帰にある。

 野村はかつて、08年の米リーマン・ブラザーズ破綻直後に同社の欧州・アジア事業を買収し、世界の一流の投資銀行である「バルジブラケット」を目指した。

 一方の大和も07年にアジアのホールセール事業に注力する計画をぶち上げたものの、リーマンショック後の10年、11年に2期連続で赤字に陥った。米ムーディーズの格付けはジャンク債の手前にまで下げられ、「当時は死活問題故に、海外事業をリストラせざるを得なかった」(小松幹太最高財務責任者〈CFO〉)。

 大和と野村の違いは売り上げ構成比に顕著に表れている。売上高に相当する「純営業収益」(野村は米国会計基準のため「収益」)をセグメントごとに比べると、リテール事業は大和が46.4%で野村の32.9%を大きく上回る。一方、ホールセールでは大和の37%に対し、野村が57%。金額で見れば1712億円と7153億円で実に4倍以上の開きがある(図2)。

 大和のリテールやアセットマネジメント事業の大半が国内である上、ホールセールも国内が中心で、業績のボラティリティが高い海外事業から手を引いた分、国内で安定収益を稼いでいるかたちだ。

 その結果、証券会社の財務の健全性を測る指標である「連結総自己資本規制比率」は22.7%に達し、野村の17.4%を大きく上回っている(図3)。