週刊ダイヤモンド2018年11月24日号第1特集は「米中戦争 日系メーカー危険度ランキング」です。米中の技術覇権、軍事覇権を懸けた戦いは、長期戦になることが決定的です。日本企業にはどう影響するのでしょうか。特集ではトヨタをはじめとした自動車各社や半導体、通信各社に対する影響と取るべき施策について取材を元に探りました。その特集から、特に影響が大きい製造業において、取るべき6パターンの戦略について解説した記事を、ダイヤモンド・オンラインに特別公開します。
生産、投資、R&D…
海外オペレーションの戦略変更は必至
「米中貿易戦争は、ただの関税合戦ではない。しかしどこまで現実的なリスクと捉えるべきか、考えれば考えるほど難解で頭を抱えている」。ある鉄鋼大手関係者は、米中貿易戦争によって飛んできかねない“流れ弾”の多さに身を震わせる。
古くから貿易摩擦の矢面に立たされてきた鉄鋼メーカーは特別敏感ともいえるが、今回の米中貿易戦争ではこれが杞憂に終わることはない。自動車業界を中心に、日本の製造業は甚大な被害を避けられそうにないからだ。
もっとも、リスクばかり降り掛かるわけではない。米中貿易戦争とは、言い換えれば米国と中国の技術覇権戦争だ。両国による内製化志向が高まっているのも事実で、産業機械のように成長チャンスをつかむことができる業界もある(下図参照)。
しかし、最大の経済圏である米国と中国が分断しようとしているのだ。リスクを回避するにしてもチャンスをつかみにいくにしても、生産、投資、R&Dを含めた海外オペレーションの根幹における戦略変更が必至となる。