仏ルノーでカルロス・ゴーン氏の後継者と目されるティエリー・ボロレ氏Photo by Takeshi Shigeishi

仏ルノー・日産自動車・三菱自動車の会長を兼務するカルロス・ゴーン氏が自らの報酬を過少申告した疑いがあるとして、東京地検特捜部が金融商品取引法違反の容疑で事情聴取を始めたとの報道が出ている。容疑が固まり次第逮捕する方針とされるが、そうなれば後継人事に焦点が当たることは必至。ここでは「週刊ダイヤモンド」が2018年4月に仏ルノーの後継候補について報じた記事を再掲する。

 仏ルノーの最高経営責任者(CEO)を務めるカルロス・ゴーン氏(64歳)が曲折の末、続投する見通しとなった。ルノーの主要株主である仏政府の意向を受けて一時は退任観測まで浮上したゴーン氏だったが、2月のルノー取締役会で続投が決定。6月の株主総会を経て、会長職を兼任するルノー、日産自動車、三菱自動車との連合深化を任期4年で担う。

 一方、取締役会ではゴーン氏の後継候補も決まった。最高執行責任者(COO)に新たに就いたフランス人のティエリー・ボロレ氏(54歳。写真)だ。

 ゴーン氏の後継をめぐっては、有力候補と目されたチーフ・パフォーマンス・オフィサー(CPO)のシュテファン・ミュラー氏が取締役会前に突然辞任した経緯がある。ミュラー氏は独BMW出身だが、ボロレ氏はゴーン氏と同じ仏タイヤ大手ミシュラン出身だ。

 ボロレ氏はミシュランで主にトラック用タイヤの生産畑を歩み、日本での駐在経験も持つ。仏自動車部品メーカーのフォルシアを経て、2012年にルノーに移って以降、チーフ・コンペティティブ・オフィサー(CCO)としてルノーのものづくりを統括してきた。

 ゴーン氏は今後、次期CEOへ権限委譲を進めるとしているが、トップ人事にはルノーと日産の経営統合を求めている仏政府の思惑も絡む。ゴーン氏が意中の人物を後継に据えられるか否かが今後の焦点となる。

(週刊ダイヤモンド編集部 重石岳史)