ウェイ・ジュンシャさんは殺虫剤の容器を背負い、麦畑やトウモロコシ畑を歩いて防虫剤を散布している。隣の農家が生産量を増やすために用いている方法は、さらにシンプルだ。肥料袋にプラスチックのチューブを差し込み、女性労働者がそれを肩に担いでまくのだ。政府の統計によると、中国の農場では約2億8000万人が雇われており、この2人の女性もそうした人たちの1人。その人数は米国の100倍以上で、中国の農業は収穫量の少ない小規模農家が圧倒的多数を占めている。専門家によると、平均的な中国の農場は2エーカーにも満たず、400エーカーある米国とは対照的だ。しかし、米中の貿易摩擦によって、中国では国内農業の効率化への意欲が新たに高まっている。米国が中国からの輸入品に関税をかけたことへの報復として、中国は米国産の大豆や麦などの農産物に関税を課した。その結果、中国では輸入農産物が値上がりし、外国農家への高い依存度が浮き彫りになっている。