【必読ポイント!】
◆作品単品の勝負が加速する
◇「ブランド売り」から「単品商売」へ

 莫大なアクティブユーザー数を誇る「LINEマンガ」など、ストア/プラットフォーム系サービスに作品を連載すれば、作品単体への関心を集めることは可能だ。しかし「単品商売」はできても、かつての「ジャンプ」や「マガジン」のような「ブランド売り」は困難である。ほとんどの電子ストアでは、リアル書店の棚とは違い、版元別に作品が並んでいない。新人も人気作家も、すべてが横並びだ。

 もともとマンガは、雑誌単位で複数の作品をバンドリングして売ることで、「ジャンプ」や「マガジン」といったブランド単位で認知させることができた。だがストア/プラットフォーム系マンガアプリの場合、その機能が弱い。そのため「ジャンプの新連載だから、この作品を読んでみるか」といった、ブランド認知を前提に作品へたどり着く回路が期待できない。

 ストア/プラットフォーム系マンガアプリが力をもつにつれ、マンガビジネスのこれまでのルール――雑誌や版元単位で作品や作家を育てて売る、だから掲載雑誌の部数が大きいほど作品単体も強い――は通用しなくなってきている。2000年代までのマンガの売上ランキングといえば、小学館や集英社、講談社や白泉社といった大手が並んでいるのが当たり前だった。しかしいまでは一迅社やイースト・プレスなど、小さい版元の作品もランキングに入るようになっている。

 こうした状況は、ブランド売りを主戦法にしてきた大手や中堅の版元にとってきついものがある。だから「ジャンプ+」や「マンガワン」のような版元アプリで、紙雑誌時代と同様のブランド売りの復活を試みているわけだ。逆にブランド売りの時代に苦戦していたプレイヤーにとっては、雑誌の部数に関係なく単品で勝負できるようになり、ありがたい時代になったといえる。

◇マンガ家のリクルーティングも変わる

 ブランド売りが難しくなると、読者の認知・購買行動だけでなく、マンガ家志望者の動きも変わる。「あの雑誌に載れてうれしい」というような掲載媒体のブランドが機能しなくなると、マンガ家志望者の行動は即物的になる。どこに載るかではなく、プロデビューできるかどうか、原稿料や読者からの反応がどれぐらいもらえるかが、より重要になってくるのだ。