会見ではさばさばとした態度だったことから、「クーデターしてやったり」という受け取られ方をしている向きもあるが、西川社長は何につけてもさばさばとした態度なので、心中を推し量るうえであまり参考にならない。

 実際、「どんな顔で話しているのだろうか」と、ひな壇直前のカメラマンに交じって写真を撮りながらじっくりと表情を見てみたが、「無念の思い」というのはある程度本当であるように思えた。

 一方で、特別背任にもっていけるかもしれないくらいの公私混同を見逃していたとすれば、それはそれで大問題だ。

 そこについては司法取引で出血を抑えつつ、あとは知らなかったとシラを切り通すしかない。東京地検特捜部という公権力を使って強大な権力者であるゴーン氏を追い落とすというのは、きわめてリスキーなチャレンジではあった。

ゴーン氏なき後の日産は
どうなるのか

 日産経営陣がそれに挑んだのには、やはり相当の理由があることは確かだろう。動機についてはルノーによる経営支配への不満、フランス政府主導のルノー・日産の経営統合への防衛等々、いろいろと挙げられているが、真相はいまだ闇の中だ。

 近いうちにルノー、日産、三菱自のアライアンスを巡って、必ずや「新しい事態」が起こるであろうから要注目だ。

 さて、問題はゴーン氏なき後の日産が今後、どういう企業統治を発揮できるかだ。

 ゴーン氏は「剛腕」で鳴らしたが、言うまでもなく社内外でいろいろと恨みも買っていた。独裁者が去ったときに起こりがちなのは、その人物がやったことを良いことも悪いことも含めて捨て去ってしまうことだ。

 ゴーン氏の改革と言えば、関連会社株の売却や工場閉鎖などのリストラが強くイメージされるが、実は日産にとって貴重な改革を数多く行っている。真っ先に挙げられるのは、柔軟な人材登用策による人材多様性(ダイバーシティ)であろう。