ヘルシンキで実現した
超便利なMaaS

 世界で初めてMaaSを具現化したのは、北欧フィンランドの首都ヘルシンキだ。人口は60万人強。2050年までに30%以上の人口増加が見込まれているというが、放っておけば郊外が無秩序に住宅地化されていく。それを阻止して、都市部にコンパクトな街を作るために、ヘルシンキ市当局は脱マイカーを進めることにした。

 クルマは止まっていても、走っていても非常に空間効率の悪い乗り物だ。自家用車は1日平均1時間使ったとしても残りの時間は車庫で眠っている。道路では、小型車であっても1人で7m2も占有する。一方、路線バスなら25m2で40人以上移動ができる。効率の良い都市を作るためには、自家用車をできるだけ減らす必要があった。これがヘルシンキにおけるMaaSの出発点であり、目的だった。

 脱マイカーを促すためには、必要な時にどこへでも出かけられる交通網が整備され、自家用車がなくても生活できる環境を整える必要がある。

 とはいえヘルシンキ市内の地下鉄、路面電車網、バス網をいくら積み上げても、A地点からB地点に自由に移動できる自家用車の利便性の代わりにはならない。自家用車の代替となるためには、いくつもの交通機関を利用者の判断で乗り継いでもらうのではなく、ひとつの移動としてパッケージングして提示しなくてはならない。

「MaaS Global社」が提供するウェブサービス「Whim(ウィム)」は、フィンランド政府のバックアップのもと、ICT技術でこれを実現した。2016年に一般公開が始まったWhimは、スマートフォン上で電車、バス、タクシー、カーシェアリング、コミュニティーサイクル(貸自転車)などを組み合わせた最適な経路を検索し、予約、決済を一括して完了できる世界初のMaaSサービスだ。

 月額無料で利用ごとに料金を支払うプラン、月額49ユーロ(約6300円)で公共交通が使い放題のプラン、月額499ユーロ(約6万4000円)でレンタカーやタクシーまで使い放題のプランに分かれており、いちいち手間をかけずに、さまざまな移動手段を組み合わせて自由に移動することができる。