日立製作所や富士通などで、ネットワークの脆弱性を見つけて攻撃する能力を競う「ハッキングコンテスト」を、有能なIT技術者の発掘に活用する動きが拡大している。
48人の“選手”たちが真剣な表情でパソコンに向かう。聞こえるのは大企業らしくないテクノミュージックとカタカタというキーボードを打つ音だけ──。
日立グループが主催したハッキングコンテストの一幕だ。グループ内から選抜された技術者による12チームが25問の課題に挑む。
観察していると、ハッキングに成功したのかハイタッチをして喜びを分かち合う姿が見られた。取材時にトップだったのは日立ソリューションズ・クリエイトのチーム。その横では日立製作所のチームが必死の形相で追い上げる。本社の看板を背負う以上、負けられないのだろう。
コンテストの狙いはサイバーセキュリティー人材の育成だけではない。裏の目的は、人工知能(AI)など幅広い領域で活躍できる逸材を発掘することにある。