小山嵩夫クリニック・小山嵩夫院長
小山嵩夫クリニック・小山嵩夫院長

「更年期といえば皆さんホットフラッシュを真っ先に思い浮かべるようですが、日本人は意外に少ない。ホットフラッシュを意識する人は、更年期世代の女性の約2割程度だというレポートもあるほどです。私がこれまで診た患者さんの中で多い症状は不眠、めまい、疲れやすい、動悸、それにうつ気分でしょうか。咳が止まらない人や、湿疹が頻繁にでてしまう方もいらっしゃいます。腰痛や胃もたれを訴える人も多いですね」

 たしかに動悸は時折私も感じることが……。唐突に心臓がキュっと締め付けられるようになる。

「酷い人になると激しい動悸が治まらず息もしづらくなる。『心筋梗塞で死ぬんじゃないか』と思い、救急車を呼ぶわけですね。2度、3度と続けて呼んで救急隊員と顔なじみになってしまった、という人もいます。けれど病院で検査をしても、心臓に異常はない。指のこわばりもそうです。みんな最初はリウマチを疑って内科や整形外科に行く。ところが血液検査の結果、そうではないことがわかる。原因がわからずに『自分はいったいどうしたんだろう』と不安になる人が更年期世代には実に多いのですが、こういうときに本人や家族に少し知識があれば『女性ホルモンのせいかも?』と気づくことができますね。症状が女性ホルモンの減少によるものならば、少なくなったホルモンを薬で少し補充すると改善されることが多い」(小山医師)

 薬で女性ホルモンを補充する、これはホルモン補充療法(HRT)と呼ばれる治療である。日本では更年期に辛い症状が出ても「我慢しろ」「耐えてやり過ごすもの」という風潮があるが、治療方法はあるのだ。ホルモン補充療法のほかには漢方やサプリメントもある。

 <更年期=老いの象徴><更年期=女じゃなくなった>など、これまで積み上げられてきたネガティブなイメージののせいだろうか……頑ななまでに「私に更年期はない!」と言い張る女性をたまに見かける。けれど「更年期」とは、先にも書いたように単なる呼び名。否定せずに受け入れたほうが断然気持ちが楽になるし、自分の体の変化を冷静にチェックできるのではないかと思うのである。

 更年期は、これまで一生懸命頑張ってきた自分の心と体の声に耳を傾ける時期。それで見えてくるもの、変化するもの、更新すべきこともあるだろう。

 女性の皆様、まず受け入れることから始めましょう。だって、更年期は決して恥ずかしいものなんかではないのだから。

(メノポーズカウンセラー、更年期ジャーナリスト 日々晴雨)