広告主体モデルは持続不可能
メディアビジネスはサブスクありき

 要するに、サブスクリプション・エコノミーで勝ち残るためには、顧客データの活用が不可欠です。データを活用できていれば、仮にAmazonが参入してきても、顧客とのリレーションシップで勝っているため、Amazonに顧客を奪われることはありません。そうした意味において、サブスクリプション・ビジネスは、現在さまざまな業界で起きているディスラプション(破壊的イノベーション)の影響を受けにくいとも言えるのです。

Photo by Yoshihisa Wada

――サブスクリプション・エコノミーの中でジャーナリズムは生き残っていけるのでしょうか。

 人々はジャーナリズムの未来を悲観的にはとらえていないと思いますよ。シリコンバレーでは企業価値が10億ドル(約1130億円)以上の未上場企業を「ユニコーン」と称しますが、われわれは書籍の中で、(上場企業の)New York Times(NYT)をユニコーンとして取り上げています。

 NYTは300万人のデジタル定期購読者を抱え、そこから10億ドルの収入を得ているからです。それ故、NYTはテクノロジー企業であり、人々はこの会社が次のユニコーンだと言っています。

 NYTだけではなく、Financial TimesやThe Economist、Wall Street Journalもうまくやっています。逆にうまく回っていないメディア企業は、広告事業主体に展開している企業です。 例えば、Vox Mediaは社員の一部をレイオフしました。 BuzzFeedは、以前に比べて評価が下がっています。広告事業主体のモデルは持続可能ではないのです。

――メディアのビジネスは、まずサブスクリプションありきということでしょうか。

 サブスクリプションの基盤があれば、そこに広告を追加することができると思います。新聞など旧来型メディアが犯した最大の間違いは、人々がインターネット上では対価を支払わないと考えたことです。

――私たちは先日、The Economistの編集長だったBill Emmott氏とディスカッションをしましたが、彼も同じことを言っていました。 大きな間違いだったと。

 そう。新聞や雑誌にとって大きな間違いでした。