資産運用の世界的なスタンダードは「長期・積立・分散」だとして、個別の株式やテーマ投資などはやるべきではないのでしょうか? もちろん、そんなことはありません。「興味があるなら、いろいろなタイプの投資をやってみるのがいいことです」と言うのは、資産運用のロボアドバイザー「ウェルスナビ」を起業した柴山和久さん。著書『元財務官僚が5つの失敗をしてたどり着いた これからの投資の思考法』より、個別株式などに投資する際の鉄則を紹介します。

 資産運用の世界的なスタンダードは「長期・積立・分散」だということをお伝えしてきていますが、では個別の株式やテーマ投資などはやるべきではない、やってはいけないということなのでしょうか。もちろん、そんなことはありません。

 ある企業の将来性を感じて株式投資をしたいという人もいれば、世界の中でも特定の国への投資を多めにしたい人もいるでしょう。人工知能やライフサイエンスなど、特定の投資テーマに興味をもつ人もいるかもしれません。金融や経済について勉強することを目的として、先端的な投資に挑戦する人もいるかもしれません。

資産運用を成功させるための重要なルールとは?

 その際、資産運用を成功させるために守るべき重要なルールがあります。それは、「長期・積立・分散」の資産運用を、7割以上に保つということです。

 右図は、あるべき資産運用のひとつの形です。これを「コア・サテライト運用」と呼びます。「コア」となるのは「長期・積立・分散」で、「コア」を取り囲む「サテライト」、つまり衛星のような存在が個別株やテーマ投信による短期投資です。

 比率は、コアを7割以上とし、サテライトを3割以下に抑えます。「サテライト」の投資はたいてい値動きが大きく、安く買って高く売るための最適なタイミングを見逃さないようにする必要があるからです。なお、忙しい人は無理に「サテライト」に資産を回す必要はなく、「コア」だけでも問題ありません。実際、プライベート・バンクに資産運用を任せている私のアメリカ人の妻の両親の資産は、ほとんど「コア」だけです。

 海外の機関投資家や富裕層の多くが、この「コア・サテライト運用」の方針にのっとって資産を運用しています。私たちに近い存在でいえば、日本政府の年金基金(年金積立金管理運用独立行政法人:GPIF)も、15年ほど前に「コア・サテライト運用」へと方針転換しました(12)。

 GOIFは、2002年3月時点ではコアとサテライトの比率がほぼ50:50でしたが、2年かけて、コアとサテライトの比率を75:25に変えました。その後、全体に占めるコアの割合は75~85%の間でほぼ推移し、2018年3月時点でもコアとサテライトの比率は76:24です。

 コアとサテライトは、料理でいうところのメインディッシュとサイドディッシュのようなもので、バランスが大事です。ところが、ガラパゴス化した日本の資産運用はサイドディッシュが中心で、メインディッシュの量と逆転してしまっています。さらに、FXや仮想通貨のような個人投資家がカモにされやすい“スパイス”が大量にかかっています。刺激は強いものの、毎日食べ続けられるものではありません(13)。

 メインディッシュとサイドディッシュのどちらであるかを意識しながら金融商品を選び、投資する金額のバランスをうまく整える。それだけでも、資産運用のリスクを下げつつ、長期的なリターンを向上させることができます。