投資家はなぜ経営トップの報酬について知る必要があるのだろうか? 大企業であれば通常、その金額は業績全体に比べればささいな数字にすぎない。日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が受け取った2017年度の役員報酬は、有価証券報告書によると7億3000万円だ。同社の純利益7469億円に比べればほんのわずかだ。冒頭の問いに対する答えはこうだ。その企業がいかに運営そして監視されているかを知るには、経営幹部ならびに取締役の報酬とその決め方についての開示情報が最善の手がかりとなることが多いからだ。気前よく報酬が払われ、ボーナスの設定目標が甘い場合は、取締役会が豪腕経営者の言いなりになっている警告サインかもしれない。広告世界最大手WPPで長くトップを務めたマーチン・ソレル元最高経営責任者(CEO)を巡る不正疑惑について考えてみれば分かる。
日産の教訓:企業トップの報酬に細心の注意を
寛大な報酬は豪腕経営者に取締役会が服従しているサインかもしれない
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