(写真はスペイン・マドリッドの店舗) Photo:REUTERS/アフロ
スウェーデンの中央銀行リクスバンクは、個人向け中央銀行デジタル通貨「eクローナ」の発行をめぐって、ここ数年議論を重ねてきた。
11月22日に同行副総裁は、正式決定するのはまだ早過ぎる段階であり、研究を続ける姿勢を示した。しかし、全体としては発行に前向きなニュアンスが感じられる。ブロックチェーンなどは使わずに既存の技術でeクローナを発行できることや、そのパイロットプログラムの検討が示されていた。
スウェーデンの場合、中銀が個人向けデジタル通貨の議論を進める背景に独特の状況が存在している。同国ではキャッシュレス化が世界で一番進んでいる。名目国内総生産(GDP)に対する現金の市中流通残高は1%強しかない(日本はこの年末で20%前後)。
ちょうど米紙「ニューヨーク・タイムズ」(11月24日)がスウェーデンの状況を解説していたので、以下に引用してみよう。
「同国で今年現金で代金を支払ったことがある消費者は、10人中1人だけだったという。5人に1人はこの先二度と現金自動預払機(ATM)を使うことはないと答えている。スウェーデンの全銀行店舗1400のうち、約半数が現金を扱わなくなっている。2008年に同国で銀行強盗は210件発生したが、昨年は2件だった。