長年、家電量販業界の再編のきっかけになるといわれてきたコジマだが、ビックカメラが買収することで決着した。これにより、ビックは業界2位に浮上し、首位のヤマダ電機に迫る。都市型と郊外型の企業連合は理想的な補完関係のように見えるが、はたしてそれは成長期以外でも通じる理屈なのだろうか。
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2012年5月11日午前。栃木県宇都宮市のコジマ本社で、ビックカメラの傘下に入るかどうか、最終的な決断を下すための取締役会が開かれた。
7人いる取締役のうち、創業家の小島章利会長だけが最後まで提携に反対したが、多勢に無勢。
結局、この日の午後、ビックとコジマは業務・資本提携を正式に発表。ビックはコジマの第三者割当増資により発行される普通株式を141億円で引き受け、発行済み株式総数の50.06%を握る。
実は、小島会長の父親に当たる創業者の小島勝平氏は、生前、コジマの経営が立ち行かなくなることがあれば、ヤマダ電機の山田昇会長に助言を求めるようにと、漏らしていたという。
ビックとコジマの提携は正しい戦略だったのか。小島会長の反対の1票を、感情的な反対と断じることはできないのではないか。今回の提携の効果を疑問視する声はかなり強い。
ヤマダとコジマ、ケーズデンキは1990年代に「YKK戦争」と呼ばれる価格競争を繰り広げつつ成長した。
熾烈なYKK戦争を勝ち抜いたのはヤマダだった。2000年に大店法が改正されると、ヤマダは3000平方メートルクラスの大型店を展開。広くなった売り場には、従来の白物家電に加えて、いち早くパソコンや薄型テレビといったデジタル商品を大量に展示することで時流に乗った。01年にコジマを抜き去って以来、業界首位をキープ。04年には売上高1兆円を突破している。