外国人労働者の受け入れ拡大に向けた出入国管理法の改正案が参院本会議で成立した。在日外国人の最多である「日本に住む中国人」といえば、アルバイトに明け暮れる留学生、不法滞在者、単純労働者、中華料理店のコックや店員、マッサージ師などの印象が強かったかもしれない。しかし、それは10年以上前の姿。現状は大きく変わっている。(ジャーナリスト 中島 恵)
都心に一戸建てを持つ
若い中国人夫妻
「うちの隣の空き地に新築の家が建ったんですが、中国の方だったんです。引っ越しのトラックがきたので、ちょっと外に出てのぞいてみたら、ご挨拶してくださって、中国人だとわかりました。30代前半くらいのご夫婦で、お子さんはないようでしたが、あの若さで家を建てるってすごいですね」
東京・豊島区に住む友人はこう語る。池袋から地下鉄に乗ってわずか2駅しか離れていない都心に一戸建てを持つことは日本人にとってもあこがれだが、「まさかお隣さんが中国人とは……」と友人はちょっと驚いた様子だった。
偶然だが、別の友人から聞いた話もなぜか同じ豊島区だった。友人の娘さんは豊島区内の有名進学校に通っているが、娘さんがクラスで親しくしている同級生は中国人だそうだ。
その同級生は日本育ちで日本語もネイティブ。成績がいいので、娘さんはいつもいろいろ教えてもらっているそうで、「うちの娘にとって、その友だちの存在はいい刺激になっているみたい。娘もつられて勉強しているの。中国の人はすごく勉強熱心だものね。まったく時代は変わったわ。普通の高校なのに、クラスメートに中国人がいるなんて私の学生のころは考えられなかった」。
確かにその通りだ。