そうした前向きな資金需要以外にも、急に売り上げが減ったり、決算が赤字となって銀行の追加融資を受けられなくなったりすることも少なくない。だが、そうしたときほど銀行はそっぽを向く。それどころか、融資の回収を迫られることにもなりかねない。

 かつて、こうした際に経営者は、ノンバンクや零細事業者向けに小口融資を営む事業者金融に駆け込んだり、経営者個人が消費者金融から短期の無担保融資を受けて急場をしのいできた。

 だが、2006年の最高裁判決でいわゆるグレーゾーン金利が明確に違法となり、10年6月に改正貸金業法が施行されたことで潮目は大きく変わった。上限金利が引き下げられるとともに総量規制が導入され、そうした融資はほぼ消滅してしまったからだ。

 無論、貸し手がいなくなったからといって、資金需要がなくなるわけではない。実は、そこに付け込むかのように広がっているのが、「ファクタリング」を装ったヤミ金による融資だ。

 ファクタリングとは売掛金(売掛債権)を売却し、支払期日を待たずして債権を現金化できる手法だ。古くからある合法的なもので、利用目的は大きく二つある。

 売掛先の経営状態が危なく、貸し倒れを防ぐために早期に売掛債権を売却して現金化する、いわば保険としての利用法が一つ。もう一つが、資金繰りが苦しいために早期に現金を手に入れたいときだ。