買い取り手数料は
年率換算すると240~360%
北関東で製造業を営むA社長は、季節性の売り上げ変動に伴う運転資金の不足に見舞われ、複数の地元金融機関に融資を申し込んだが、ことごとく融資を断られてしまい、途方に暮れていた。
ちょうどそのとき、ファクタリング業者から「売掛債権で資金調達できます」というファクスが舞い込んできた。切羽詰まっていたA社長は、このファクタリング業者に連絡。すると、売掛金300万円を買い取ってすぐに代金を振り込んでくれるという。
ただし買い取り代金は、手数料90万円を差し引いた210万円。返済原資は、1カ月後にA社長が売掛先から回収する300万円だ。買い取り手数料を月利に換算すると30%、年率換算で360%という高額なものだったが、支払いを遅延するよりマシだと考えたA社長は契約に踏み切ったという。
ここでファクタリングについて知識のある読者は不審に思われたかもしれない。というのも通常、ファクタリング契約での売掛債権は、売掛先企業に通知・承諾を得た上で買い取り先であるファクタリング業者に移転し、業者が売掛債権の回収を行うものだからだ。
それを示したものが、下図上段の「3者間ファクタリング」と呼ばれるスキームだ。だが、A社長が提示されたスキームはこれとは別物で、下図下段の「2者間ファクタリング」の方だった。