世界には不快な仕事が多いが、誰かがそれをやらなければならない。その一つが、ドナルド・トランプ米大統領の首席補佐官という仕事だ。それゆえに、年内にホワイトハウスの束縛から解放されるジョン・ケリー氏は国民から感謝されてしかるべきだ。トランプ氏は8日、退役海兵隊大将のケリー氏が「年末に」政府を去ると発表した。それ以前から、ホワイトハウス内ではいつものように同氏の解任のうわさが飛び交っていた。トランプ氏は「彼の貢献を非常に高く評価している」と述べたが、それは当然のことだ。2017年夏、トランプ氏はホワイトハウスに秩序を取り戻せる人物を探していた。当時、政権内はスティーブ・バノン首席戦略官とラインス・プリーバス首席補佐官の対立で無秩序状態に陥っていた。国土安全保障長官だったケリー氏が大統領首席補佐官の座に就いたのはそんな時だった。ケリー氏は大統領のスケジュールや会合などについて、できる限りの秩序を確立しようとした。また、政策検討過程の正常化にも努めた。ケリー氏がこうした仕事を十分うまく、かつ十分長い期間にわたってこなしたことで、ホワイトハウスは税制改革の交渉を進めることができた。