「1秒単位」で消費者の心が離れていく時代。だからこそ、PR動画もプレゼンも文章も、「1秒でつかみ、1秒も飽きさせない」ことが、売上に直結する。

『家、ついて行ってイイですか?』『吉木りさに怒られたい』『世界なぜそこに? 日本人』などの仕掛け人で、テレビ東京制作局ディレクターの高橋弘樹氏が、1秒で「惹きつけて」、途中1秒も「飽きさせず」、1秒も「ムダじゃなかった」と思ってもらえるコンテンツの作り方全思考・全技術を明かした新刊『1秒でつかむ「見たことないおもしろさ」で最後まで飽きさせない32の技術』が、発売前から注目を集めている。

本記事では、「1秒でつかみ、1秒も飽きさせないコンテンツ」を作る方法の1つである「過剰さ」について、事例とともに特別公開する(構成:編集部・今野良介)。

「過剰さ」はおもしろさを生み出す

南無阿弥陀仏。これが、本記事のキーワードです。
意味がわからないと思ったかもしれませんが、大丈夫です。とりあえず話を続けます。

商品やコンテンツをバズらせたかったり、熱狂的なファンがついて欲しいと思うなら、「見たことなくて、かつおもしろいもの」だと思ってもらうことが必要だと思います。

そこで役立つ、超簡単な思考法があります。超簡単です。

それは、人が「ウザい」「嫌い」「ダサい」「ダルい」と感じるものの魅力を引き出すことです。ひと言で言えば、「ネガティブなものの魅力を引き出す」ということです。

なぜ、それがバズったり熱狂的なファンを生み出すことにつながるのか?
超かっこよく言えば、それが一種の「革命」だからだと思います。

『吉木りさに怒られたい』という番組を作ったことがありました。

この番組は、深夜の1時30分から始まる、しかも5分番組という、とても「挑戦しがいのある」枠での放送でした。恨んでいる人を五寸釘で呪うのに適していると言われるほど誰もが寝静まる真夜中丑の刻の5分番組。そんなもん、なかなか観てもらえません。

しかも、内容は、グラビアアイドルの吉木りささんが、ひたすらテレビカメラに向かって主観映像でブチ切れまくるだけ、という番組です。

怒る内容はさまざま。

・「でる男はすぐ打つプライド高すぎ男」に怒る美女
・「やたら隠れ家に連れて行きたがり、チェーン店をディスる男」に怒る美女
・「何でも否定から入る万年野党男」に怒る美女
  など

グラビアやバラエティ番組ではいつも笑顔の吉木りささんの、戦慄の走るブチ切れ映像が話題となり、真夜中の5分枠ながらDVD化され、『ビジネスパーソンのための吉木りさに怒られたい』というタイトルで書籍化もされました。

さらに、「社会現象」としてNHK総合テレビのゴールデンタイムの『特報首都圏 やっぱり叱られたい~若者に広がる"叱られ願望”~』という番組で放送されるなど、さまざまな反響がありました。

なんせ、若い女性が「てめえ!」だの「この水洗便器野郎!」だのと狂ったように怒り散らす映像ですから、午後7時30分にお茶の間でNHKをつけてこの映像をみた戦中派世代のご年配の方々は、夕食を食べ終わりひと息つきながら、飲みかけたお茶を吹き出したのではないかと思います。「もう日本はおしまいだ」と。

「やりすぎ」でバズらせる4つのコツ笑顔のイメージが強い吉木りささんが    (©️テレビ東京)

 

「やりすぎ」でバズらせる4つのコツありえないレベルでブチ切れる    (©️テレビ東京)

この番組は、ネガティブであるはずの「ブチ切れ」にひと工夫を加えることで、まったく真逆の価値としてとらえ、その魅力を引き出すものでした。

この番組で描かれている「ブチ切れ」の魅力は、次の4点です。