「テレビ番組では芸人のギャグがスベったり、トークがつまらなかったり、議論や批評が熱を帯び過ぎたりして、その場がヤバい空気、重たい空気に包まれることがあります。これが生放送だと、そのヤバさは計り知れません。しかし、トークの達人のタモリさんが司会をすると、こうしたヤバい空気は生放送でも生まれません。そこには場の空気を一瞬で変えてしまうトーク術があります。今回は『1秒で気のきいた一言が出るハリウッド流すごい会話術』の中から、タモリさんの、あらゆるシーンを好転させる術を紹介いたします。

タモリはなぜ生放送でもヤバい空気を一瞬で好転させられるのかイラスト:JERRY

場の空気が悪くなる展開を
どうやって打破するか?

 人間の性格は十人十色でバラバラです。ですから人生では、「かなり短気な人」と「空気を読みすぎる心配性の人」という組み合わせで飲食店に行く事もあるでしょう。

 そんな時、態度の悪い店員さんに当たってしまうと最悪です。短気な人は、「何だ、あの店員は」と、必要以上にピリピリします。そうなると、今度は空気を読みすぎる人が、短気な人が作り出す重い空気に耐えきれずにオロオロし始めます。

 そして、注意力が散漫となって飲み物のグラスを倒してしまったとします。

 必要に迫られ態度の悪い店員を呼ぶ事になるのですが、いくら呼んでも店員が来ません。こうして短気な人の顔はどんどん曇っていきます。一方、飲み物を倒した心配症の人は、自分が全てを引き起こしたと自分を責め始め、過剰にまわりに謝りはじめます。

 すると、短気な人は「お前じゃない。あの店員のせいだから。ハッキリ文句言ってやる!」と、とても気合が入ってしまい、いっそう険悪な空気になってしまいます。

 こんな時どうすればいいのでしょうか。たいていの人が最初に試みる「怒っている人をなだめる」という手段は、失敗する事が多いのです。