端的な事例が、「北朝鮮のミサイル実験」だ(第186回)。北朝鮮がミサイル実験を着々と成功させて、本来どこからも攻撃されない「新世界」であるはずの米本土に届くICBMを完成させた。その結果、トランプ政権は、北朝鮮のミサイルを現実的な危機と認識し、初めてこの問題の解決に重い腰を上げざるを得なくなった。

©ダイヤモンド社 2018

 そこで、「4D(四次元)地政学」を考えた。これまで地図という「平面」の上で「固定」された国家の位置関係から国際関係を考察してきた地政学に、「空間」という新たな分析の枠組を付け加える。そして、空間における国家間の位置関係は不変で固定的なものではなく、国家の持つ技術力の進歩によってグニャリと曲がって変化する「動的」なものだと考える。

「ワープ」を可能にする「ワームホール」のイメージ

 北朝鮮に当てはめれば、米本土に届くICBMを完成させることによって、「平面」の上で「固定」された地図上では絶対に届くはずのない米国との距離を、「空間」をグニャリと曲げるイメージで、縮めることに成功したのだといえる。

 それは、いわば曲がった「空間」をぶち抜いた「ワームホール(虫食い穴)」を通って距離を瞬時に縮める「ワープ」のイメージだ。だから、「4D(四次元)」の地政学なのだ。本稿はこの枠組みを使い、米国と北朝鮮、EU、中東、ロシア、中国との新たな関係を分析する。