アメリカファーストと
中国の関係を読み解く

 同様に、アメリカファーストの米国内に手を出したために、米国の逆鱗に触れたのが中国である。トランプ大統領は、中国に対して、ほとんど言いがかりでしかない「貿易戦争」を仕掛けた(第191回・P.2)。6月に、米国が中国製品に25%の追加関税を課す方針を発表したのを皮切りに、米国と中国が互いの製品に追加関税をかける「報復合戦」となった。

 だが、米中貿易戦争は、次第にハイテク分野で追い上げる中国に対する米国の対抗策ではないかという視点が浮上してきた。11月には中国から、中国が米中の貿易不均衡を是正するための142項目の行動計画リストが米国に提示され、トランプ大統領が「完成度が高い」と評価した。貿易戦争自体については、米中ともに激化を回避するために、お互いに歩み寄ったのである。

 しかし、その直後に新たな「事件」が起こった。中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟(モンワンチョウ)・副会長兼最高財務責任者が、米国の依頼を受けたカナダ当局に逮捕されたのだ。カナダ・米国は孟氏の逮捕理由を明らかにせず、中国が強く反発した。米中の歩み寄りのムードは一変してしまった。

 米国と中国は、12月1日より90日間を期限に通商協議を始めている。焦点は、中国による知的財産侵害である。米国は、中国がサイバー攻撃などで奪ってきた知財を基に、米国の経済・軍事面の覇権を奪おうとしているという疑念を持ってきた。

 そして、ファーウェイはその疑惑のど真ん中にいる企業なのである。米国は、中国共産党や中国軍とファーウェイの深い関係を疑い、ファーウェイが米国の通信ネットワークへの侵入などを通じて安保を脅かす可能性があるとの見方を強めてきたのだ。

 米中の激しい対立も、突き詰めると「4D地政学」で読み解ける。中国が、ハイテク企業を使って米国との距離を縮めることで、米国内に直接危害を加えられる能力を持っていると疑われたことで、米国から厳しい攻撃を挑まれることになってしまったといえる。