アライアンスが混迷すれば
日産の業績への大打撃も必至

 ゴーン氏の電撃的な逮捕によって、日産自動車の経営体制、アライアンス、事業の見通しは混沌としている。法人としての日産の訴追リスクも無視できない。経営責任が追及されれば、経営の不安定化も懸念される。さらに、ルノーとの信頼関係にひびが入れば、アライアンスが機能不全に陥る心配もある。今のところは、ルノー、日産ともにアライアンス体制を継続する方針を表明しているが、19年に渡るアライアンスは、重大な局面を迎えていると言わざるを得ない。

 日産は、(1)ルノー・日産の共通プラットフォーム(CMF)の生産比率を25%から75%へ引き上げる、(2)グローバル・コア・モデルの構成比を増やすことで、開発の効率性を引き上げる(3)、電気自動車、e-Powerハイブリッド、自動運転技術の3つの先進技術を中核に置く、2022年への中期経営計画の根幹をなす商品計画――を中期経営計画で表明している。

 その計画は全て、ルノーとのアライアンスという「柱」が持続しなければ画餅に帰す。今回の事件は、日産のブランド価値の毀損や、事業への直接的な影響も懸念されるのだ。日産の経営責任を問われることは不可避に映り、経営の不安定化の恐れもある。そこにアライアンスの機能不全が襲えば、企業業績は大きく揺さぶられる。

 法廷闘争に持ち込まれたVWとスズキの紛争から学んだことは、企業アライアンスは信頼関係を損なうと簡単には元には戻れないということだ。「片思いのアライアンス」からは、意味のある成果を生み出すことは容易ではないことは歴史が示している。このような無利益な闘争を何年にもわたって続けても、結果はライバル企業を利するだけなのである。

 ルノーと日産の両社がメンツを捨てて実を取る路線に舵を切れなかった場合、ゴーン氏逮捕は日産の衰退につながる大事件としても歴史に残ることになるだろう。