どうしても心配になってしまう
改正出入国管理法
「改正出入国管理法」を見ると、どうしても心配になってしまう。
恐らく多くの人がそう感じるのではないだろうか。少子高齢化・人口減少が顕在化するわが国にとって、海外からの労働力の流入はどうしても必要であることを考えると、入国管理法の改正は避けて通れないものだった。今回の改正によって、これまで海外からの労働力の流入を、技能研修という格好でお茶を濁してきた政府のスタンスが変わったことは、重要であることは言をまたない。
ただ、それにしても今後、移民政策へとつながる可能性のある法制にしては、まだまだ不備な点が多いと言わざるを得ない。
臨時国会で政府は、外国人労働者受け入れの“入口確保”を重視した。しかも、安倍政権はかなり急いで、前のめりに法案成立を目指した。成立後の対応については、各産業界を管轄する省庁など、現場丸投げの色彩が強い。法案の最終目的が何か、よくわからないままになっている。
あまりに早急に法案成立が目指されたため、法務省が提出した資料をはじめ不備が目立った。また、安倍政権のロジックも国民の納得を得ることはできていない。納得感を得ることなく強硬に法案を成立させてしまう姿勢は、後々の政策運営にマイナスの影響を与えるだろう。
繰り返すが、わが国にとって外国人労働者の受け入れは避けられない。それがうまく進むかどうかによって、今後の経済成長にはかなりの影響があると考えるべきだ。なぜなら、わが国では、「少子化」「高齢化」「人口の減少」の3セットが同時に進んでいるからだ。この状況が続くと、国内の需要は大きく低迷する。また、企業の労働力確保も一段と困難になるだろう。