ドッグウォーカー
米国で顧客の犬を散歩させるドッグウオーカー。米国では根強い需要があり、飼い主は気に入ったドッグウオーカーを繰り返し利用する傾向がある Photo:Justin Sullivan/gettyimages

 最新のテクノロジーを取り込み、既存のビジネスモデルを変革するような「イノベーション」は、ITやエレクトロニクス企業などの技術系企業ばかりではなく、金融から農業まで全ての業種に求められている。「ITけん引社会」への産業転換が始まっているからだ。

 そうした時代の要請から、日本企業のシリコンバレー進出が活況を呈している。日本企業関係者の視察は急増し、日本企業を対象としたセミナーも目立つようになってきた。米国のスタートアップと接することができると評判の、既存企業向けの共同オフィスも大繁盛だ。

 30年間にわたって日本企業の事業変革を唱え、支援してきた身からすると、この流れはうれしいことだ。しかし、日本企業がシリコンバレーにある最先端の事業の“種”を洞察し、自社の新事業につながるようなスタートアップを探し出して新しい事業を生むには、乗り越えないといけないハードルがまだまだある。目利き力を養えといわれても、一朝一夕には難しい。スタートアップを厳選して投資するプロであるベンチャーキャピタル(VC)でさえも、成功の確率は低いのが現実なのだ。

 新事業創造で犯してしまう典型的な間違いは、今までのやり方を踏襲することだ。すなわち、社内ヒアリングや市場調査を行い、観察した顧客ニーズを経験や勘に照らし合わせて、社内の納得感を得る方法だ。だが、企業の知る顧客ニーズや経験、勘は過去のもの。どうしても「イノベーションのジレンマ」に陥ってしまう。

 このジレンマを克服するには、顧客自身が気付いていない潜在ニーズやまだ見ぬ新しい顧客ニーズ(未来ニーズ)を見つけるしかない。ただ、言うはやすし。いくら社内ヒアリングや市場調査をしても未来ニーズはつかめない。そこで意味があるのがシリコンバレーにひしめくスタートアップの観察である。