また、鄧色が薄まった理由として、鄧に対する「教条主義」への警戒という点も挙げられる。中国共産党は毛時代に「個人崇拝」と「教条主義」が起こり、現実に基づいた国家建設を行うことが困難だった。その反省から、改革開放以降、中国共産党は「個人崇拝」「教条主義」を警戒し、そうした行為を戒めた。鄧色を強めることは鄧への「教条主義」を促すことになる。一時期、習への「個人崇拝」が起こったが、今年7月頃にその傾向がやや抑えられた。

 こうした理由から鄧はあまり強調されなくなったが、習は鄧路線を継承し、「新時代」に合った改革開放路線をとるのではないだろうか。

「新時代」における
習近平式の改革開放とは

 第19回党大会の報告で、中国の直面している主な「矛盾」は、「人民の日増しに増大する素晴らしい生活への需要と、発展の不均衡・不十分との矛盾」であり、人々のニーズは物質的なものから、「民主・法治・公平・正義・安全・環境」などのニーズに変化していると述べており、「新時代」の改革開放はこのニーズを満たすためのものになろう。

 習は、今後の改革開放についてまだ系統的に語ってはいないが、第18期五中全会で打ち出された「革新、グリーン、開放、調和、共有」の5つの発展理念に基づくものとなろう。それは次のような特徴がある。

 第1に、イノベーションのさらなる推進だ。

 イノベーションは5つの発展理念の1つであり、今後の中国が「中所得の罠」から脱し、さらなる発展を促す上でも、優秀な人材の活用という点でも大きな意義がある。現在の中国はキャッシュレス社会などの面では非常に進んでおり、中国政府は今後も「00後(2000年以降生まれ)」の若い人材を有効に活用して、中国独自の技術を生み出すことを重視するだろう。