初公判のあったさいたま地裁
初公判のあったさいたま地裁 Photo by Maki Fukuhara

今年は「教員の働き方改革」がメディアやSNSで話題になった。長年、「学校の労働環境は、おかしいのではないか」と気づきながらも声を上げられなかった現場教員が、SNSやシンポジウムの議論に触発されて意見を出している。学校教員の過労死やうつ等の精神疾患による休職者が増加傾向にある中、長時間勤務を「これ以上放置しておくわけにはいかない」と現役の学校教員が提訴した。(医療ジャーナリスト 福原麻希)

教員だけ残業代が出ないと
知ってショックを受けた

 今年9月、埼玉県の小学校に勤務する田中まさおさん(59歳、仮名)は埼玉県を相手に、教員の時間外労働に対する訴え(未払い賃金請求事件)を起こした。

 今月12月14日の裁判初日では、原告の田中さんと代理人弁護士の若生直樹さんが意見陳述として、その内容を説明した。傍聴席はメディアも含めてほぼ満席になり関心の高さがうかがえた。

 訴訟の目的は「教員の長時間労働の縮減」を目指す。被告となる埼玉県は請求の棄却を求めている。

 すでに報道されているように「教員には残業代が出ない」。

 田中さんは15年ほど前、公務員の中でも「自分たち教員だけ残業代が出ない」だけでなく、「時間外勤務は教員の自発的行為とみなされている」と知り、大きなショックを受けたという。

「地方公務員は、どの職種も残業代が出ないものだと思っていました」と田中さんは振り返る。「管理職を含めて、教員は全体的に労働に関する法律について、あまりよく知らない」とも言う。