漱石アンドロイド、マツコロイドを生み出したアンドロイド研究開発の第一人者・石黒浩氏による、常識に囚われないモノの見方・考え方のヒント。今回のテーマは、教育の重要性について。医学や法学と違って教育はAIでは置き換えられず、将来その立場が逆転する可能性があるという“脱常識的”考察。

日本の教育界がお粗末なのは
頭のいい人が来ないから

 現在、最も頭のいい人たちは医学部を目指します。次が法学部、工学部と続いて、最後に教育学部となります。

 これは各大学の学部ごとの偏差値を見れば明らかです。

 現在の日本の教育プログラムがお粗末な理由ははっきりしていて、そういった学部の人たちが教育に携わっているので、教育の可能性を十分に伸ばせていないのです。

 自分には能力がないと自覚しているような人たちが、自分と同じような人材をつくりたいという意識のもとに制作するプログラムが優れているはずがありません。

 しかし、この構図はここ20年から30年で逆転します。

 医学分野はそのほとんどがAIとロボットに変わります。法学も、工学も取って代わられますが、教育だけは残ります。教育は最も難しい分野だからです。