欧州の政治的混乱で
経済に悪影響も

 欧州で注目されるのは、英国のEU離脱の期限が迫っているにもかかわらず、具体的な手続きなどの合意が成立していないことだ。英国とEUの間の貿易に関税が課されることになれば、双方の経済にとってマイナスの影響はまぬかれない。

 のみならず、部品調達先を変更する企業の混乱、通関手続きの混乱なども予想される。具体的にどのような混乱が起きるのか、筆者には予想が難しいが、予期せぬ混乱が随所で発生し、経済全体に大きなマイナスが生じる可能性は否定できないだろう。

 フランスに目を転じると、反政府デモが頻発しており、今後の推移は予断を許さない。全土に混乱と暴動が広がれば、経済活動に甚大な影響が生じる可能性も否定できない。

 もっとも、欧州発の「リーマンショック」も起きないだろう。幸か不幸か、日本と欧州の経済関係はそれほど深くないので、欧州経済が混乱しても日本経済への影響は限定的だと思われる。距離が遠いこと、得意とする産業が似ているので国際分業が成り立ちにくいことなどが“ケガの功名”となっている形だ。

 金融危機に関しても、中国の人民元ほどではないが、ユーロやポンドは主に域内で利用されていて、域外での流通は限定的だから、仮に信用収縮が発生しても域外への影響は限定的だといえる。

 話を米国に移そう。米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)が利上げを続けていることから、FRBは景気後退を予想していないとみることができる。したがって、本稿としても米国経済のメインシナリオは好調持続でいいと思っているが、市場関係者の間では弱気論が強まっているもようだ。

 問題は、皆が悲観的になると、実体経済にも悪影響が生じかねないということだ。株価の下落自体の影響は限定的だと思われるが、人々の景況感を悪化させることになると、「景気は気から」だから影響が深刻化しかねないわけだ。