そういう意味では、社債市場等を通じた悲観論の悪影響の方が深刻かもしれない。混乱が広がれば、信用収縮が発生する“ミニ・リーマンショック”のような事態も起きかねないからだ。

 社債などの発行が困難になったり、社債などを大量に保有している銀行が値下がりによって損失を被り、自己資本不足から貸し渋りをしたりする可能性が皆無ではないためだ。銀行には自己資本比率規制がかかっているので、自己資本が一定以上に減ると、貸し出しを絞らなければならない。

 あるいは、市場関係者以外にも悲観論が広まると、影響が深刻化しかねない。企業経営者が景気の悪化を予想して設備投資を手控えたり、銀行が景気の悪化を予想して融資の姿勢を慎重化したりするかもしれないためだ。

 こうした動きが実際に景気を悪化させれば、それを見た市場参加者が一層景気の先行きに悲観的となり、さらに動きを加速してしまう可能性も皆無ではなかろう。「景気は気から」なのだ。

影響が深刻化しそうなのは
米国の信用収縮

 中国や欧州の混乱とは異なり、米国の混乱の可能性は小さいが、仮に発生すれば日本経済へのインパクトは大きくなりかねない。最悪の場合には、ミニ・リーマンショックといった様相を呈するかもしれない。

 まず、米国は世界最大の輸入国であり、日本からの輸入額も大きい。日本から中国に輸出された部品が、中国の対米輸出製品に組み込まれる部分を加えれば、さらに大きくなる。

 さらに、米国で金融収縮が生じれば、基軸通貨である米ドルが世界中で調達困難ともなりかねず、世界全体の貿易や投資に悪影響が生じさせかねないからだ。