まもなく2018年が終わり、新しい年を迎えます。時間に追われるように走り続けてきた経営者にとって、まとまった時間が確保できる年末年始のお休みは、じっくりと会社の将来や自分自身を見直すことのできる貴重な機会です。
一流の経営者は
「反省」を忘れない
小宮コンサルタンツ代表
貴重な休みを何に使うか。2019年の経営方針を決める、従業員に向けた訓示の草稿を練る、それらも大切なことですね。しかし、その前にやるべきことは経営者自身の「反省」です。『論語』に「吾、日に三度吾が身を省みる」とあるように、反省する気持ちを持たなければ、失敗から得た教訓を積み重ねて経営の糧とすることができません。
しかし反省の習慣がないのであれば、手帳を見返すなどして、まずは1年を振り返って反省することから始めてください。年末・年始は反省するのにとてもいい機会です。明らかに失敗したプロジェクトはもちろん、大成功したプロジェクトの中にも反省点はあるものです。運が良かっただけかもしれませんからね。とにかく反省です。
松下幸之助さんは「七転び八起き」という言葉が好きではなかったそうです。七度転んでも、八度起きればいいというのは、失敗に対する慰めの言葉に過ぎず、転んだからには何かをつかみ、同じ失敗を二度としないことが大切なのです。経営者に限らず、1つの失敗をしたら反省して次に生かすことをしない限り、八転び、九転びと際限なく失敗を繰り返すことになります。
『ビジョナリー・カンパニー 2 飛躍の法則』(ジム・コリンズ著、山岡洋一訳、日経BP社)に私の好きな言葉があります。引用すると、「成功を収めたときは窓の外を見て、(自分以外に)成功をもたらした要因を見つけ出す。結果が悪かったときは鏡を見て、自分に責任があると考える」という言葉です。
松下幸之助さんも「成功は運が良かったから。失敗は自分に力がなかったから」と、慢心を戒め、反省の大切さを説いています。「反省でも足りない」と言う経営者もいます。東証1部上場会社を一代で築いたある創業社長は、反省にとどまらず日々「自己否定」をしているというのです。衝撃を受けました。