残すところ平成もあとわずか。これを区切りに今年で「年賀状じまい」を決めた人もいるのではないだろうか。ピーク時には44億枚以上というとてつもない量が交わされた年賀状。未来では、昭和・平成の「文化」として語り継がれるのかもしれない。平成も終わりに近づいた今、年賀状の思い出を振り返ってみたい。あんなこと、こんなこと、あなたにもありませんでしたか。(取材・文/フリーライター 鎌田和歌)
平成の終わりのともに
「年賀状じまい」の声も
ここ10年ほど、やり取りされる年賀状の枚数は明らかに減少傾向にある。今年で平成が終わることを一つの区切りにする、「年賀状じまい」の声も聞こえてくる。
年賀はがき発行枚数がピークを迎えたのは2004年年始の44億5936万枚。すでに携帯電話やパソコンでメールが送れた時代だが、当時はまだ「正式な挨拶(あいさつ)はメールで済ませずに手紙やはがきで」という風潮があった。その後のスマートフォンやコミュニケーションアプリの普及が、年賀状離れの決定打となったように見える。
2019年用年賀はがきの当初発行枚数は約24億枚で、前年に比べ約1億8000万枚減。ピーク時から比べると、20億枚も減少していることになる。発行枚数が35億枚を突破した1980年代後半から2012年ごろまでが、「年賀状黄金期」だったのかもしれない。「年賀状じまい」の声もあり、来年以降にまた発行枚数が盛り返すとは考えづらい(参考:『年賀葉書の発行枚数などをグラフ化してみる』ガベージニュース)。
毎年恒例の手間ではあったとはいえ、一つの文化が終わりかけているとなるとさみしさはある。「こっちから出してない人からも来ちゃったよ。困ったなあ」と言いつつもうれしそうな親の顔を覚えている人も多いのではないか。
今回は、年賀状「黄金期」の昭和・平成を過ごした人たちに、年賀はがきにまつわる思い出を聞いた。