特捜部は保釈の可能性がでてきた翌21日、特別背任容疑でのゴーン氏の再々逮捕に踏み切った。

「ゴーン氏が(拘置所から)出てくると(日産の)協力者が勇気を出せない。(会社を私物化していたことなどを暴く捜査協力に向けて)雪崩を待つ意味がある」

 この日の昼過ぎ、捜査の内情に詳しい関係者は逮捕の狙いと意義を筆者に解説した。

 そして、こう付け加えた。「ルノー、フランス政府に(いかにゴーン氏が日産を私物化していたかを)知らせる意味もある」

 逮捕が、「仏政府・ルノー」を強く意識して行われたことは間違いない。

 特捜部の発表や関係者の話によると、ゴーン氏は自身の資産管理会社と新生銀行の間で、金融派生商品投資で報酬を運用する契約を結んでいたが、2008年秋のリーマンショックによる急激な円高で約18億5000万円の評価損を出した。

 日産の代表取締役兼最高経営責任者(CEO)だったゴーン氏は、新生銀行から追加の担保を求められ、損失分を含む契約の権利を日産に付け替えることを提案したとされる。

 この条件として、新生銀行側が日産の取締役会での承認を求めたのに対し、ゴーン氏側は、「『報酬の範囲内で処理をするので問題ない。会社に負担は発生しない』と反論。取締役会で、ほかの取締役に損失を隠したまま、外国人の役員報酬の投資に関わる権限を秘書室幹部に与える特別な決議をさせ」(18年12月24日朝日新聞朝刊)、同年10月、損失を含む投資契約の権利を日産に移し、日産に同額の損害を与えた疑いがあるという。

自身の損失を日産に付け替え
「海外滞在で時効はまだ」

 朝日新聞などの報道によると、ゴーン氏が契約の権利を日産に移した翌月の08年11月、証券取引等監視委員会が新生銀行を定期検査。この損失付け替えについて、日産とゴーン氏の間で利益相反に当たる可能性が高いと指摘した。

 ゴーン氏は09年2月、契約の権利を日産から資産管理会社に再び戻したとされる。

 ゴーン氏は、この権利の付け替えの際、信用保証で協力してもらったサウジアラビア人の知人が経営する会社に対し、09年6月から12年3月の間に4回にわたり、日産の子会社から計1470万ドル(現在のレートで約16億3000万円)を入金させ、日産に損害を与えた疑いがあるという。