JR北海道が頼みの綱とする
JR東日本の新型車両

 結局、東京~広島間のシェアが均衡しているのは、それが「4時間」だからではなく、新幹線と航空機の所要時間が均衡しているからに他ならない。北海道新幹線が新函館北斗まで4時間を切ったからといって、航空機との競争が一気に有利になるなどという単純な話ではないのである。

 そうなると、問題は北海道新幹線の行方である。函館ですら航空機に勝てないとなると、札幌延伸に期待はできないのではないかという疑念が生じるのは当然だ。新函館北斗から札幌までの所要時間は約1時間と見込まれており、単純に足すと東京~札幌の所要時間は約5時間ということになる。航空機ならトータル3時間40分程度の道のりだ。

 ちなみに東海道・山陽新幹線の東京~博多間が5時間弱、航空機では3時間30分程度と近似の条件にあるが、新幹線のシェアは約7%(2017年度)である。博多中心部まで10分程度という福岡空港の立地条件を差し引いても、1時間半もの時間差があっては、新幹線は航空機に太刀打ちできないのである。

 これではJR北海道の経営再建は不可能だ。だからこそ同社が2018年6月に発表した「経営再生の見通し」では、削減・縮小一辺倒の中で、新幹線の高速化による東京~札幌間4時間30分の実現という積極策を掲げている。

 頼みの綱は、今年夏ごろに登場予定のJR東日本の新幹線試験車両E956「ALFA-X(アルファ・エックス)」だ。この車両は最高速度400km/hの試験走行を通じて安全性と快適性、環境性能を向上する技術を確立し、2030年度に営業運転速度を現在の320km/hから360km/hへ引き上げることが目標だ。

 航空機との時間差が1時間、つまり現在の東京~函館間と同程度になれば、25%~30%程度のシェアが期待できる。航空路線としては世界最大である、1日当たり約2万5000人が利用する羽田~新千歳便から25%が鉄道利用に転ずれば、北海道新幹線の利用者は今の1日当たり約5000人から倍増する計算になる。JR北海道は札幌開業時の収支見通しを公表していないため、これが十分な数字かは定かではないが、少なくともこのあたりがスタートラインになるはずだ。

 新幹線の開業効果は鉄道だけに及ぶものではない。現在、羽田~新千歳間は1日当たり100便以上が飛んでいる。単純計算で利用者が25%減れば25本分の空港の発着枠が空き、発着容量が逼迫する羽田空港、新千歳空港ともに、新幹線では担うことのできない国際便などに振り向けることが可能になる。

 また、雪に強い新幹線は、冬に欠航が多い新千歳便の代替ルートとしても期待される。北海道新幹線は、航空機との競合関係だけでなく、分担と相互補完の観点もふまえて、取り組むべき課題である。真に北海道の発展に寄与するインフラになることを願ってやまない。