「苦しい」の元になるこれらの脳内物質ですが、元々は、危険な状態から一刻も早く抜け出すために、心と身体の能力を瞬時に高める物質なのです。ノルアドレナリンは集中力を高め、脳機能を活性化します。アドレナリンは筋力をアップし、身体能力を高めます。

 つまり、人は追い込まれたときに、高い能力を発揮できるように設計されているのです。火事のときおばあさんがタンスを背負って逃げたというのは、ありえる話です。

 ですから、「苦しい」状況を積極的に利用すれば、仕事を効率化し、モチベーションを高めることが可能となります。

苦しい作業が楽しくなる
「ストップウォッチ仕事術」

 緊迫感、緊張感があったほうがよい仕事ができる――。

 このことは、あなたにも経験があるのではないでしょうか。

 私も「お手すきのときにお願いできれば」と依頼された原稿は、いつまでたっても書けません。「いつでもいい」と言われると、尻に火がつかないわけです(笑)。

 そこで私は、「いつでもいいです」という依頼でも、「今月末までに書きます」と、自分で締め切りを設定します。書き上がるのは締め切りの2日前くらいになってしまいますが(笑)、集中して執筆するので、非常に質の高い文章が書けます。

 自分で締め切りを設定すると、集中力とモチベーションが高まります。

 その理由は2つ。1つは、追い込まれた状態によるノルアドレナリンの働き。もう1つが、「今月末までに終わらせる!」という明確な目標設定によるドーパミンの働きです。

 なお、人間が持つモチベーションはたった2つしかありません。

「楽しさ、褒美、ほめられるために頑張る=快適なことを求める」ドーパミン型モチベーションと、「恐怖や不快や叱られることを避ける=逃げるために頑張る」ノルアドレナリン型モチベーション。この2つだけなのです。