高まる韓国の
政治停滞リスク

 今後、文大統領の政権運営は一段と厳しい局面を迎える可能性が高い。特に、韓国経済の減速・失速リスクが高まっていることは軽視できない問題だ。

 すでに韓国の景況感は弱含んでいる。その理由は、スマートフォンの販売不振などを受けて半導体の価格が下落しているからだ。半導体市況の悪化は韓国の景気回復を支えてきたサムスン電子をはじめとするエレクトロニクス企業などの業績を悪化させるだろう。それは、失業率の上昇など韓国経済のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の悪化につながる問題だ。目先、文大統領の経済運営への不満や批判は一段と高まりやすい。文氏が支持率を回復させることはかなり難しいと思われる。

 先述したように、批判をかわすために文大統領は日本軽視の姿勢を強め、従来に増してさまざまな批判や要求を行うことが想定される。日本としては、韓国からの要求に対して感情的になることは避けなければならない。本来なら、一方的な要求ばかりを行う韓国を日本が相手にする必要もないはずだ。

 ただ、極東情勢の安定を考えるとそうもいってはいられない。韓国からの理不尽な要請に対しては、過去の政府間合意などを基に、日本の認識を冷静に伝えればよい。同時に、国際社会が日本の主張の正当性を理解し、賛同することができるように取り組むことが求められる。何が問題であり、日本がどのようにその問題の解決を目指しているかを分かりやすく各国に訴え、国際世論の賛同を得ることが欠かせないだろう。

 それは、わが国の主張に賛同する“親日国”を増やすことに他ならない。特に、アジア新興国との関係強化は、最優先に進められるべきだ。日本が世界経済のダイナミズムとして期待を集めるアジア新興国との関係を強化できれば、国際政治における日本の発言力は高まるだろう。そのために、経済支援や多国間の経済連携を強化し、国同士の信頼関係を深めていくべきだ。それが、わが国が自力で国力の引き上げを目指すということだ。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)