青山学院の「復路の激走」が与えた衝撃
箱根駅伝は東海大学が初優勝。青山学院の総合5連覇は成らなかった。
今回は「ゴーゴー大作戦」と、例年にも増して軽薄とも思えるキャッチフレーズで臨んだ青山学院の原晋監督に非難の声も上がっている。だが敗れてなお、「脅威」ともいえる深い衝撃を青山学院はライバルたちに与えたのではないだろうか。
(どうやったら、あんな強いチームが作れるのか!?)
4区、5区の失速で、往路は6位、首位東洋大学に5分30秒も遅れた。この時点で5連覇は難しくなった。すると原監督は、選手たちの気持ちを「復路優勝」に切り替え、「往路の敗因は采配ミス」と自らの責任を公言した。
そして翌日、青山学院の各ランナーは「奇跡が起きるのではないか」、応援者には期待を、ライバルには底知れない不安と脅威を与え続けた。
6区、小野田勇次が区間新の区間賞。7区、林奎介も区間賞。8区の飯田貴之は区間2位だったが、9区の吉田圭太がまたも区間賞。前を行くチームにとっては背筋の寒くなる追い上げが続いた。
東洋大に代わってトップに立った東海大もこの日、2位、2位、1位、2位と、青山学院にひけをとらない快走を続けたために奇跡は起こらなかったが、どこか1区間でもブレーキがあれば、5連覇は十分に可能だった。事実、往路優勝の東洋大は、3位、3位、3位と粘りながら9区で19位の不振があり、青山学院の遙か後塵を拝する結果となった。そして10区の鈴木塁人は区間2位。5連覇は成らなかったが、笑顔で復路優勝のテープを切った。