大切なのは自分たちの食の現状を知ること、
食の全体像を知ることが危機回避の行動につながる
より大切なのは、先ほど述べたように、まずは自分たちの食の現状がどうなっているのかを知ることです。どのような人々が食にかかわっていて、食卓の食べ物がどこから来たのか、その過程でどれだけの生産者が関わっていて、それらの人々がどのように政治的に結びついているかなど、食の全体像を知ることです。
もし行動を起こしたいなら、どうすれば政治家を動かせるかを考えることです。これが大きな1歩です。多くの人々は自分たちの食生活を変えることは可能だし、地域社会で活動することも可能なことを知っていますが、さらに次のステップ、つまり政治的行動を起こすことが必要になります。
神保 では最後の質問です。これまで『石油の終焉』に次いで『食の終焉』を書いてこられました。次は何の終焉ですか。もしよければ次の本の構想を教えてください。
ロバーツ 終焉シリーズは今回で終焉しました(笑)。今、デジタル経済と個人の結び付きを考察した本を書いています。コンピュータのネットワークを通じたデジタル経済は、ますますあなたが何を欲し、何を考え、どう感じ、何を期待しているかを把握し、それに的確に応えられるようになっています。年ごとに、あなたが誰で、何を望んでいるかを正確につかめるようになっているのです。
果たしてそれは、私たちにとってよいことなのでしょうか。そもそも人は、すべてを手に入れるようにできているのでしょうか。日本の伝統的思考も古代ギリシャ哲学も、自己適応、つまりいかに人間が状況に適応していくかを説いているのであって、その逆ではありませんね。人間がすべてを手に入れられる状態というのは、本当に人間にとっていいことなのかを問うてみたいと思っています。
神保 『グーグルの終焉』とか?(笑)。
ロバーツ いいえ、『~~の終焉』は使わないと思います。終焉シリーズは『食の終焉』で打ち止めです。
神保 わかりました。楽しみです。今日は本当にありがとうございました。
ロバーツ こちらこそ、ありがとうございました。
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