リスクがない「奇跡の時代」の幻想に固執した国会

 しかし、昭和の奇跡的な成功を体験した人たちが、いくらそれを守ろうとしても、グローバルな社会・経済の変化に抗することはできなかった。平成の時代、日本社会は大きく変化した。それを端的に見ることができるのが、実は「国会」である。

 第二次安倍政権は、国会でさまざまな重要課題を通してきた。だが法案の審議では、野党側が法案を徹底的に批判し、審議拒否の挙句、ほぼ無修正のまま強行採決で成立ということが繰り返された(第189回第200回)。

 野党が法案審議で強硬姿勢を取り続けた理由は、政府与党の対応が悪いということを除けば、主に国民生活にこれまでなかった「リスク」が生じるということだった。例えば、野党は、「特定秘密法」(第72回)や「テロ等準備罪(共謀罪)法」(第160回)を、ジャーナリストや民間人の弾圧につながると批判した。「安保法制」(第115回)では、日本が戦争に巻き込まれるといい、憲法改正から軍拡路線につながるリスクがあると訴えた。

 昨年の国会でも、「働き方改革」(第177回)は長時間労働や過労死を増加させる、「IR推進法」(第189回)でギャンブル依存症を増やすと主張した。そして、「改正入管法」(第197回)では、なし崩しに外国人労働者が増えると批判した。野党は、「リスクを国民が負うことがないと政府が確約できなければ、なにもやってはならない」と主張してきたのだ。

 一方、安倍政権・与党側は野党側の主張を完全無視し、これらの重要法案を強行採決して成立させた。前述の安全保障、国際政治経済の両面における大きな情勢変化に素早く対応しなければならなかったからであり、一定の理解はできることである。だが、「国民生活に新しいリスクが生じる」という野党の批判に対してまともに答えようとせず、「リスクはない」の一点張りで押し通そうとしていた。その姿勢は問題だと言わざるを得ない。