トヨタ生産方式を形だけ導入しようとしても成功しない。うまく機能させるには、カイゼン哲学を共有し、不断の努力を続けなければならない。そして、その背景には、トヨタに脈々と受け継がれる労使間、社員間の徹底した対話文化がある。トヨタ労組の書記長や自動車総連の会長などの要職を長年務め、『トヨタの話し合い』を上梓した加藤裕治弁護士に、トヨタの現場の情熱や創意工夫の秘密を聞く。

 

若手社員から経営トップまで
共通の哲学がある

「トヨタの社員は金太郎アメだ」と言われることがある。

 もちろん、揶揄しているわけだが、長い間、その当事者であった私には、この言い方に違和感はない。人が揶揄しているつもりでも、こちらはむしろ誇りだと思う面もあるからだ。

 トヨタの社員には、ある一面を捉えれば、どこを切っても同じことを言う金太郎アメ的な側面が確かにある。しかし、それは会社の弱みではなく、強みにほかならない

 金太郎アメになっているからこそ、世界一の自動車メーカーという地位を獲得できたともいえるのだ。

 若手社員から経営トップまで金太郎アメのごとく同じ顔を見せ、同じことを話せるというのは、考え方の根底において共通項がなければならない

 トヨタという会社には、間違いなくそれがある。モノづくりの考え方や誇り、日々の仕事を進める上での価値観や哲学――。トヨタの社員は、この点について、まさしく金太郎アメである。

 では、トヨタの社員が根底で共有している考え方や価値観とは何か。