トヨタ史上最高のオープン初月から48ヵ月連続での販売目標達成は、社内どころか社外にも驚きをもって伝えられた。さまざまなメディアで紹介されたが、一番の問いは、「なぜ、寄せ集めの集団が最強の組織に変わったのか?」である。新刊『トヨタの伝説のディーラーが教える絶対に目標達成するリーダーの仕事』から、その問いに答えていくとする。
現場の叩き上げの人間が実践で身につけた泥臭いリーダー論
「名選手、名監督にあらず」
プロ野球界でよく使われている言葉です。
監督になる人の多くは、現役時代、結果を出してきた人たちです。その人に、チームを託せば、優勝に導いてくれるかもしれないという期待があるから指名されるのです。しかし、どんなに優れた選手でも、監督として結果を出せるかはまた別の問題なのです。
ビジネスの現場も同じです。結果を出して、会社に貢献したことを評価され、管理職に昇進します。今までは、個人の成績でよかったかもしれませんが、任された組織、チームで結果を出すのは容易ではありません。
なぜ、リーダーになったとたん、今までと同様に結果が出せなくなるのでしょうか。ひとえに、「できて当たり前」が標準であるリーダーに対し、「できないのが当たり前」のメンバーがいるからです。
多くのリーダーはおそらく、「リーダーとしてどのようにスタッフを指導していけばいいのか」「チームの目標を達成させるためには、リーダーはどのように動けばいいのか」と悩んでいると思われますが、その解決方法はあります。
私は長年、自動車販売の現場でリーダーを務め、またリーダーを育成、指導する役割も担ってきました。そのなかで、成功するリーダーと失敗するリーダーの違いや、失敗する人の典型的なパターン、成功するためのポイントがわかるようになりました。
そんな私は、トヨタ自動車直営の販売会社に営業として入社。同期は頭のいい人ばかりで、仕事では負けたくないと思い、とにかくがむしゃらに働きました。その結果、新人賞の第一位を獲得。その後も、年間優秀セールスマン賞、累計販売台数1000台など、多くの実績を残しました。ところが、リーダーになってからは、なかなか実績をあげられずに苦労しました。
初めてリーダー的な立場になったのは、30代半ば、課のリーダーに昇格したときのことです。