中田氏から一連の話を聞いたのは、カズが50歳になる直前の2017年2月。時は流れ、ブラジル人のエジソン・アラウージョ・タヴァレス監督が指揮を執る今も、横浜FCというクラブが取るスタンスは変わらないだろう。だからと言って、カズ本人も現状に甘えているわけではない。

 年間42試合を戦うJ2で、前述したように昨シーズンは9試合の出場に終わった。一方でリザーブとして試合終了を迎えた試合も30を数える。先発出場した天皇杯全日本サッカー選手権の2試合を含めて、シーズンのほとんどでベンチ入りを勝ち取ったことになる。

 同じくベンチ入りしながら、ホームのニッパツ三ツ沢球技場のピッチに立つことなく90分間を終えた12月2日の東京ヴェルディとのJ1参入プレーオフ2回戦。試合終了間際に喫した失点で敗れ、12年ぶりのJ1復帰の夢が潰えた直後の取材エリアで、カズはこんな言葉を残している。

「先発かどうかは監督が決めることですけど、常にベンチに入るコンディションまでは持っていけた。自分のことを評価する、とまではいきませんけど、ひとつの自信にはしてきたい」

 ならば、タヴァレス監督が定めるフォワード陣の序列の中で、どのようにすればリザーブから途中出場、そして先発へと自らのポジションを上げられるのか。今現在もグアムで自主トレを積み重ねながら、カズはこんな青写真を描いている。

「走ることも大事ですけど、サッカーで何が一番大事なのかと言えば技術だと思うので。体力の衰えは誰にでもあるし、当然ですけど50歳を超えて20代、30代の頃とは明らかに基礎体力やパワーも違っている。だからこそ、そうしたものをカバーできる技術を大切にしながらもっともっと磨いて、技術を支える最低限の体力をつけていくことを意識しています」