2015年度の報告によれば、80ヵ国・地域のなかで、イギリスが1位、台湾がアジアで最高の6位、日本は14位、香港が22位、中国本土が71位となっている。ちなみに、インドは67位、中国の1つ上の70位がエチオピア、1つ下の72位がボツワナであることから見ても、中国がいかに遅れているのかが分かると思う。

中国でも始まった
尊厳死をめぐる議論

 こうした実態を見て、一部の医療従事者たちが行動を起こした。元上海瑞金医院院長で、中国抗がん協会常務理事の朱正綱氏だ。2015年以降、機会があるたびに、末期の胃がん患者に対し、むやみに外科手術をしないように」と、医師たちを説得している。

 また、元政府高官の娘羅点点氏も、「きれいに死にたい。ICU(集中治療室)で体にいろんなパイプが差し込まれるのは嫌だ。しかも、膨大な医療費を毎日使って、最終的に産業化された医療の中で死を迎えるのを避けたい」と主張し、十数名の高齢者と一緒に「臨終不挿管クラブ」を作った。つまり、臨終の際、延命治療を断る団体を立ち上げたのだ。

 その後、米国などでは一般的となってきた「生前遺言」の存在を知り、元帥で外相も務めたことのある陳毅氏の息子、陳小魯氏らの友人とともに、中国で初めてとなる尊厳死を求めるサイトを開いた。

 陳氏はずっと悔しく思っていることがある。父が植物人間同然の状態に陥り、体中にいろいろな管が差し込まれていた。呼吸器を使って維持していたが、それでも心臓の鼓動が停止してしまった。

 病院はすぐさま電撃を加えたりして、延命治療に取り組んだ。電撃で体が飛ぶほどの衝撃を受けたのを見て、やめてもらおうと病院に申し出たら、「そんな権限があなたにあるのか」と言われ、引き下がるしかできなかったという。

 しかし、陳氏はこの日の出来事を今なお悔やんでいる。父に尊厳のある臨終を迎えさせるべきだったと後悔し続けているのだ。