コンサル大解剖Photo:PIXTA

大手コンサルティングファーム出身者が、入社わずか数年で独立し、月額150万円以上の報酬を得る――。コンサルファームに所属せず、個人で独立して活動する「フリーコンサル」の存在感が高まっている。長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、急速に拡大するフリーコンサル市場の実態を描き、それが示唆する既存コンサル業界の構造的課題(ブラックボックス)に迫る。(ダイヤモンド編集部 大川哲拓)

入社3年で独立→月単価150万円!
フリーコンサル「1万人時代」が到来

「入社3年で独立しても、月単価150万円の仕事が舞い込む世界になった」。そう語るのは、フリーコンサルのマッチングプラットフォームを運営するGroovement(グルーブメント)の浴野真志代表だ。

 かつてコンサルタントの独立といえば、長年ファームで経験を積んだシニア層が、個人事務所やベンチャーファームを立ち上げるケースが一般的だった。しかし、今はその常識が覆されている。20~30歳代の若手が大手ファームを次々と飛び出し、フリーコンサルとして高額報酬を手にしているのだ。

 人材マッチングサービスのランサーズの調査によると、フリーランス全体の人口は過去10年で40%近く増加し、経済規模は20兆円を超えた。

 フリーコンサルに限った統計はないが、フリーランス協会の「フリーランス・副業人材サービスカオスマップ2025」によれば、企業とフリーコンサルを結び付けるマッチングサービスは20社ほどが展開。創業4年のGroovementのサービスには約1500人が登録しており、同社は「フリーコンサルは1万人規模にまで膨れ上がっている」と推定する。

 この市場をけん引しているのが、20~30歳代の若手層だ。Groovementの登録者の年齢構成を見ると、30歳代が全体の約51%を占めており、アクセンチュアやデロイトといった総合系ファーム出身者が半数超に上る。

 彼らはなぜファームを離れるのか。そしてなぜ、高額の報酬を手にすることができるのか。次ページでは、フリーコンサルへの取材を通じ、既存のコンサルティング業界が抱える高コスト構造とクライアント企業側の変化に迫る。